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1987年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両

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ブルーリボン賞:北海道旅客鉄道 キハ83・84形気動車 [フラノエクスプレス]

ブルーリボン賞1987

有効当票数4614票中,585票(12.7%)の第一位を占め,栄えあるブルーリポ ン賞受賞に決定したのは,現在北海道旅客鉄道株式会社に在籍しているキハ83・ 84形気動車で,愛称をフラノエクスプレスと名付けられて登場した車両です。 主目的は北海道の中心札幌と,スキー場として最近国際的になってきている富 良野を結び,ゴージャスな室内装備と斬新な外観デザイン,塗装を持ったスキー 客輸送用の気動車(ディーゼルカー)です。
この車両は旧日本国有鉄道の設計,製造になるもので,より地域密着,乗客二 ーズヘの柔軟性ある対応を強力に進めた結果,誕生した改造車です。
このことは他にも多く誕生した欧風列車やお座敷列車などと,方針は同一で すが,気動車であることが特徴の一つともいえます。種車は 国鉄の気動車特急の量産形の第一陣となったキハ80系車両で3両1編成,先頭車 の全面,側面の窓を今までになく大きく開け,車窓展望をグンと良くし,中間の 車両はハイデッカー(床を高く)になっています。車内は一段と座りごこちの良 いリクライエングシートと,落ち着きのある色彩として種車の面影は殆ど残って いません。
スキーFISワールドカップ大会開催の際のスキー客専用ノンストップ列車として 富良野プリンスホテルと旧国鉄とで共同企画してこの車両が出現したものです。v
北海道には1985年12月には既にこの車両と似たような経緯によって,やはり気 動車特急「アルファコンチネンタル」と名付けた気動車列車が登場し,素晴らし い人気を得たことが大きな励みになったものと言えましょう。 (アルファコンチ ネンタルも道内有数のホテルとの共同企画で,このフラノエクスプレスのデザイ ンの手本となった形態を持ち,札幌と石勝線トマムの間を走りました。)なお 現在フラノエクスプレスはスキーシーズンを終わり,別の愛称を付けられ,車両 も一両加え4両となっています。
白いボディーに大きな窓,ブルーと赤のストライブ入りの豪華列車に会員は強 い印象を受け,第一位の投票結果となったものと思われます。 なお北海道地区でのプルーリボン賞授賞ははじめてです。
※フラノエクスプレスは6月1日より10月末までビックスニーカートレインと名 付けられて札幌〜千歳空港〜新得間を走る予定です。

ローレル賞:北大阪急行電鉄 8000系電車 [ポールスター]

ローレル賞1987

北大阪急行電鉄は昭和45年に開催された日本万国博覧会の大阪市内から の重要交通機関として設立されたもので,大阪市営地下鉄御堂筋線と相互乗入運転を 行っています。8000系電車は創業以来16年ぶりに新製された車両で,御堂筋線のあびこ, 中百舌鳥間延長に備えたものです。従来8両編成であったものを9両編成にすることになり, 北急の車両も9両となり,この贈備のために8000系が登場したと言えましょう。
この車両も近鉄7000系電車と同じく,制御方式にVVVFインバータ制御を採 用しています。大げさに言えば今やVVVFインバータ制御方式は,新形車両の 持つ要諦と言えなくもありません。
車体にアルミ合金を用いて軽量化を図り,乗務員の操作性と安全確認の向上を はかってモニタリングシステムを採用したり,さらに乗客対策としての車内装備 にアクリルパネルを用いた天井,クリームとオレンジの色調でまとめた車内カラ ー配色など,通勤車両としてはより細かいところまで配慮を払っています。 通勤車両として一層質の高い内容を持つ性能,仕様,車内装備に高い評価を得 ての授賞です。
なお,この車両は「ポールスター」と愛称を付けています。北大阪急行電鉄 では初の授賞です。

ローレル賞:近畿日本鉄道 7000系電車

ローレル賞1987

昭和61年10月1日に営業を開始した,同社東大阪線(生駒〜長田間10.2km)に投入された車両です。この線は長田駅で大阪市営地下鉄中央線と接続し,相互乗り入れ直通運転をしています。近畿日本鉄道所有車としてはじめての第3軌条方式の車両です。
この車両は制御装置に省力化に著しい効率をもつVVVFサイリスタインバータ制御方式を充分なテストの上で採用実用化しています。 車体は全体に丸みを持たせ,正面の大きな窓ガラスとパールホワイトにオレンジとブルーの効果的なカラーデザインが,従来からの同社の車両だけでなく,多くの車両デザインとは違った趣を持っています。基本的な車両性能,仕様と車体デザインに優れた点が多いことから授賞を決定しました。
この車両は通商産業省が選定する昭和61年度グッドデザイン商品に鉄道車両として初めて選定されました。なお近畿日本鉄道のローレル賞授賞は初めてです。

ローレル賞:四国旅客鉄道 キハ185系気動車

ローレル賞1987

185系気動車は旧日本国有鉄道が地域密着形の尖兵として,四国に集中投入し た新しい施策を数多く盛り込んだ特急列車用気動車です。 旧国鉄では四国地方の経営基盤の整備計画をたて,その一環として製造された もので,急行列車の特急列車化に対応しています。省力,省エネルギー対策,購 入価格の低減化,乗客対策の向上化,弾力的効率良い運用化など数多くのテーマ を強力に盛り込んでいます。
車体を気動車としては本格的に軽量ステンレスを採用して,できる限り軽量化 すると共に,エンジンも形式によっては従来2基搭載していたものを,グリーン 車には1基のみとしたり,液体変速機(トルクコンバータ)は廃車になった車 両から再利用,台車はボルスタレス台車を用いて乗心地とスピードアップを図 る一方,購入価格の大幅な低減とランニングコスト,耐用年数の延伸と狙ってい ます。この方針はサービス電源を従来の集中形から分散形(各車両に搭載)にし て,編成を最小2両運転を可能にしたり,グリーン車も1両全室から普通車と半 分ずつ使用するキロハ形を採用するなど広範囲にわたっています。
車体構造や乗客対策としても,客室から車窓をワイドに眺められるように,窓 を大きく,特に運転室の助手席や貫通扉の窓も大きくしています。シートピッチ も広く,回転式リクライニングシートとして,腰掛けの背部に大形のテープルを 取り付けたり,快適な四国路の旅が出来るような配慮を払っています。外観もス テンレスに特急用として初めてグリーンのストライプを付け,一段と大きくなっ た側面窓部には黒色を配して重厚さも備えています。
基本5両編成ですが3両と2両とに分割できます。速度も四国では初めて時速 110キロの高速化も達成し,四国路の鉄道活性化を図る多くの新機軸を盛り込ん だ車両として,高い評価を得ての授賞です。

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