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2007年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両

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ブルーリボン賞:富山ライトレール 0600形

ブルーリボン賞2007

2007年ブルーリボン賞は、有効投票3012票のうち、最高得票の780票を獲得した富山ライトレール0600形を選定することに決定しました。
富山ライトレール0600形は、富山港線を日本で初めての本格的なLRT(Light Rail Transit)に転換するために導入された超低床LRV(Light Rail Vehicle)で、「ポートラム」という愛称がつけられています。主要構成は、新潟トランシス製の標準車両を基本とし、路面の軌道区間だけでなく旧富山港線の鉄道線区間を最高速度60km/hで実際に走行することを前提としているのが最大の特徴となっています。
外観は地上側とのトータルデザインにより、立山の新雪をモチーフとしたスノーホワイトを基調色に、アクセントカラーをシンプルに配したものとし、細部のデザインについては公募により決定されています。アクセントカラーを編成ごとに変化させることで、各編成の個性を主張させています。また、開業時からICカードシステムを本格的に導入しており、すべての出入り口にICカードリーダを設置して、各種運賃制度の運用に柔軟に対応可能としています。デザインと機能の両面において、公共交通を活かして進める「街づくり」を担わせる意図を明確にした上で企画された車両であり、全ての車両をこの「ポートラム」で揃えて開業したことも、富山ライトレールの成功へと導いた大きな要因といえます。
少子高齢化の進行が加速する中、地域公共交通の復権が改めて待望される状況において、廃止寸前の地方ローカル線から「都市の装置としてのLRT」としていちはやく再生の一歩を踏み出した富山ライトレールのシンボルとして、この「ポートラム」は鉄道友の会の多くの会員の支持を集めたことから、今回ブルーリボン賞に選定しました。
 なお、ブルーリボン賞は、1958年以来、今回がちょうど50回目の選定となります。

ローレル賞:東日本旅客鉄道 E233系

ローレル賞2007

東日本旅客鉄道E233系は中央線用として登場した一般型電車で、今後の標準車両として首都圏の各線への導入が計画されています。
京浜東北線などを走る209系に始まるJR東日本「新系列車両」による成果が、主に首都圏の鉄道各社の車両政策を一変させるほどの影響をもたらす中、このE233系では最初の投入線区となる中央線の利用者に対するモニター結果を元に、今一度利用者サイドに立った視点から企画されたことが特徴となっています。昨今、複雑化の一途をたどる首都圏の鉄道ネットワークの運行障害による損失が社会問題化する中、機器の二重化の徹底により故障に強い電車を実現し、また、利用者ニーズの高度化に対し、座席や内装の改善を中心とした客室内のグレードアップ、ホームと床面段差の極小化やスタンションポールの改善などのユニバーサルデザインの追求、空調設備への空気清浄機の装備などの快適性の向上、車内外の表示装置を活用した細やかな旅客案内など、細かな気配りでサービス向上を図っています。
さらに、安全性の向上にも配慮し、通勤車両へのクラッシャブル構造の適用や車体側面強度の向上など、万が一の事故発生時対策の強化を図っています。これら施策の実現に際し、機器の増設を中心にあえて手堅い解決策をとることで、機器の単純化によるコストダウンや乗務員や検修員の取り扱い向上が図られています。
利用者にとって魅力ある車両の登場が、最近のコストダウン一辺倒の風潮に一石を投じ、今後の標準車両のコンセプトとして各社に波及することで、利用者重視という姿勢が新しい通勤車両のスタンダードとなることが期待される中、そのリード役としてE233系が存在感を確立していくものと思われます。
以上のように、「利用者第一の設計コンセプト」、「上質な車内サービス装備の標準化」、「機器二重化による故障対策の実現」といった特徴が、選考委員会において評価されたことから、ローレル賞に選定しました。

ローレル賞:西日本鉄道 3000系

ローレル賞2007

西日本鉄道3000系は通勤用として登場した車両で、西日本鉄道としては初のステンレス車体を採用した車両です。主に急行列車への使用を想定したものとなっています。
ステンレス車体の採用とともに、外観は従来の西鉄車両のイメージを一変するもので、曲線基調の先頭デザイン(先頭部分は普通鋼製)が特徴となっており、帯色についても今までの西鉄にないブルー系を基調としたものになっています。また、技術的には、車体の鋼体部分の接合の大半に日本の車両としては初となるレーザー溶接を採り入れたことが最大の特徴となっています。レーザー溶接には、高品位な車体が低コストで実現できる等のメリットがあり、新しいステンレス車体の製造方法として今後期待が持たれている方式で、いち早く西鉄3000系が導入することになりました。
室内は、従来車と比較して54mm拡げることで客室面積を拡大し、さらに座席配置は転換式クロスシートを主体とし一部ロングシートを併用する形を取り、幅広い運用に対応可能としています。転換クロスシート中心とすることで、今までの西鉄の通勤用車両にない高い車内サービスを実現しています。
既存通勤車の置換え用として2両編成と3両編成が用意され、インバータ制御装置の機能を3種類にモード変化をさせることで、故障時の対策を強化しています。短編成用の故障対策システムとして、高度な機器を用いることで、機器の搭載数を押さえる効果をもたらしています。
このような高品位な客室サービスを持つ車両をあえて通勤用として登場させたことで、特急用車両と合わせて、西日本鉄道のサービスレベルの向上に寄与することが期待されます。
以上のように、「車体組み立てへのレーザー溶接技術の初採用」、「急行用車両としての高品位な客室サービスの提供」、「短編成用として適切な故障対策」といった特徴が、選考委員会において評価されたことから、ローレル賞に選定しました。

参考:2007年ブルーリボン・ローレル賞対象車両

鉄道名 形式・系列 備考
1.
秩父鉄道 6000系
2.
東日本旅客鉄道 E233系
3.
東京地下鉄 10000系
4.
江ノ島電鉄 500形
5.
富山ライトレール 0600形
6.
西日本旅客鉄道 521系
7.
大阪市交通局 80系
8.
阪急電鉄 9000系
9.
神戸新交通 2000形
10.
四国旅客鉄道 1500形
11.
西日本鉄道 3000系

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